「稚内珪藻土」(稚内層珪藻頁岩)は珪藻質の硬質頁岩です。
正式には、“稚内層珪質頁岩”等と言い、“稚内層珪藻土”とも言われています。
(「稚内珪藻土」は、稚内層珪藻頁岩、稚内層珪質頁岩の俗称です。)
主に北海道天北地方で採掘され、海底に堆積していた珪藻土が地殻変動による地圧・地熱により変成した岩石で、その地殻変動の力で破砕された岩が、再び堆積した頁状岩石です。
秋田、石川、岡山、大分で産出される粘土質又は泥岩質である一般の珪藻土と比べて3〜6倍の吸放湿性能である自然調湿機能が(25度90%RH〜50%RH)があり、天然の多孔質鉱物の中では最大級の吸放湿機能を持つ素材です。
「稚内珪藻土」(稚内珪藻頁岩)の岩石状態
−稚内珪藻頁岩の電子顕微鏡写真−
<上から・珪藻核含む全体像・拡大写真・さらなる拡大写真>
写真1
写真2
写真3
下の珪藻核中に穴が開いているだけの一般珪藻土と比較すると全く異なるのが判ります。
稚内珪藻頁岩は、珪藻土が地圧・地熱で変成した為、写真2の様なマリモの様な物が出来、
これが写真3にある様に多孔質な為、一般珪藻土より細孔容量が多く、自然吸放湿機能が優れている要因です。
−一般珪藻土の電子顕微鏡写真−
写真4
写真5
写真6
一般の珪藻土は、珪藻プランクトンの遺骸がそのままの形で残され、珪藻核のリングより内側にただ
穴が開いているだけです。その為、稚内珪藻頁岩より細孔容量が低く、細孔径も大きめです。
稚内珪藻土(稚内珪藻頁岩)と、その他の珪藻土のでは、結晶質にも違いがあります。
稚内珪藻土は、オパールCTという結晶化まで到達していない、非晶質シリカで構成されているのが特徴です。
結晶化したクリストバライトに近いΘ角度付近で出る波長ですが、クリストバライトよりピーク値は明らかに低く、結晶性が低いことが分かります。
それと比較しまして、他の珪藻土は全体的にピーク値が低く非晶質体であることが分かります。
尚、この測定を行うことで、稚内珪藻土(稚内珪藻頁岩)の配合の有無を調べる事も出来ます。
次に、吸放湿機能の基と成る、細孔容積の違いを下記のグラフに示します。
※吸放湿機能と吸水力は異なります。
液体の水を吸うから、必ず気体である水蒸気の吸放湿をするとは言えません。
例えば、ウレタン製のスポンジ。 液体である水を吸いますが、吸放湿はしません。
例えば、「タイベック」等の透湿防水シート又は「ゴアテックス」等の透湿防水生地。
気体の水蒸気は通しますが、液体である水は通しません。
―これは、小学校の理科で習いました様に、液体である水の時と気体である水蒸気の時では、分子の大きさが異なるからです。
国内一般珪藻土との細孔容量の比較グラフ